天台宗の葬儀
葬儀とは、亡き人へ永遠の別れを告げる厳粛な儀式であり、故人を送る人々にとって、「死」と直面し、現在の「生」(自分が生きている事)の意味を見極める、大切な儀式であると言えます。天台宗の葬儀の特徴は、顕教と密教に分けており、それぞれに儀礼があるということです。
顕教儀礼には「法華懺法(ほっけせんぽう」と「例時作法(れいじさほう)」が、密教礼儀には、光明供(こうみょうく)があり、合計三種類の儀礼によって、天台宗の葬儀は営まれます。これらいずれの礼儀も、本質は供養する家族・縁者・故人が一体となり、ともに仏道を成就していくことにあります。
天台宗の戒名と位牌
一般的な感覚では、戒名は「亡くなった人に与えられる名前」という意味で広く受け止められていますが、仏教の世界において「戒名」とは本来、仏に帰依し受戒した人に授けられるものです。今日のように亡くなった人に戒名が与えられるのは「没後作葬(もつごさそう)」と言って、仏式をもって葬儀を行い、この式をもって死者が受戒し死後仏弟子になったという意味からと考えられます。
天台宗の戒名には、二字・四字・六字などのものがあります。一般的な戒名は四字のものが多く、○○○○信士(信女)などです。この場合、下の二文字が戒名で、上の二文字は道号といい、生前の徳や業績、性格などを表します。信士、信女は位号といって、性別や年齢、お寺や社会への貢献度を参考に決められます。また信士、信女は十五歳以上の男女につけられます。その他の位号には居士、大姉、童子、童女などがあります。
天台宗の仏壇
天台宗の本尊は「久遠実成無作(くおんじつじょうむさ)の本仏をもって本体とする」とされており、如来・菩薩・明王・諸天のいずれも本尊であるとされています。特定の本尊を定めていないので、一般的には阿弥陀如来・釈迦如来・観世音菩薩など菩提寺の本尊をまつる場合が多いです。本尊は仏壇最上段中央奥の須弥壇(しゅみだん)の上に安置します。本尊は木彫り、あるいは掛け軸でもかまいません。本尊の左右の脇侍(わきじ)は、向かって右側に高祖天台智者大師、左側には宗祖伝教大師をまつります。
仏壇を安置する場所については、さまざまな説や言い伝えがあります。一般的に有名なのは、次の三つの説です。

  • 「南面北座」:北に仏壇の背を向け南向きに安置する。
  • 「本山中心」:仏壇の前で合掌した際、その延長線上に所属している宗派の本山(天台宗では、比叡山延暦寺)があるように配置する
  • 「西方浄土」:仏壇の正面を東向きに安置します。その前で合掌することで、西方浄土へ拝礼できることになります。
  • 実用面を考えると、「南面北座」の方が南側からの風がよく入り、湿気を防ぐことができますので、仏壇の保存には適しているといえるでしょう。